減価償却を活用し尽くす術3(重大注意事項)

このシリーズでは不動産投資の利益に直結する減価償却について計上方法や戦略を含め解説していく。第三回目の今回は、減価償却額を決定するうえで注意すべき重大注意事項をまとめていく

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このシリーズでは不動産投資の利益に直結する減価償却について計上方法や戦略を含め解説していく。

前回の記事をまだ目にしていない方は、下記よりご確認頂きたい。

第三回目の今回は、減価償却額を決定するうえで注意すべき重大注意事項をまとめていく


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減価償却額決定に注意すべき事

これまでの工程の中で減価償却が及ぼす キャッシュフロー、 税額について説明してきた。

減価償却額が大きくなればなるほどにメリットは大きそうだ。

しかしながらその額を決定するためには、下記の三つのポイントに注意を払わなければいけない。


貸借対照表のバランスを崩さない

減価償却費用を大きく取ればそのぶん税額が少なくなりキャッシュフローは多くなるが運営期間中、貸借対照表の資産額が減少していく。

無論、ただの会計上の数値の話ではない。

対象不動産の担保と負債のバランスといえばよいだろうか。


不動産ローンを使用している場合

不動産ローンを使用している場合、残債額が常に負債の部に存在する。

減価償却をとればとるほどに資産の部が減少していく。

そのため負債の部の方が多い債務超過状態になりかねないのだ。


決算書には時価評価額も

不動産賃貸業の場合、決算においては簿価の資産額だけでなく、不動産の時価評価額も決算に表示する事をおすすめしている。

実態をわかりやすく表現できれば経営判断や資金調達の際に役立つ。

しかし、簿価上の数字とは言え、そのバランスが崩れると当然のことながら信用は落ち、つまり格付も下がる。

すべての金融機関が簿価を優先するとは言い切らないが、当然決済内容は最重要である。

資産の部にある不動産の額がローンの残債額を大きく下回るような減価償却の取り方は悪影響に繋がると覚えておこう。


定額法と定率法、二つの減価償却方法

最終的に投資対象物件が定まった際に考慮する事として、減価償却方法がある。減価償却には定額法と定率法の二種類があるので覚えておこう。

参考:No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)

国税庁


建物本体と設備等

本体部分に関しては現在定額法しか選べないが、設備等は定率法も選択が可能だ。

減価償却対象額と償却年数、そしてB/Sバランスを検討し定額法、定率法を上手く組み合わせてもらおう。ここは税理士と相談して検討すべき部分だ。


デッドクロス

融資を利用しての不動産運営の場合、元本の返済部分に関してはどうしても税金がかかる。

ローンの返済が進めば負債が減る、つまり純資産が増えている事になるからだ。

元本返済分の課税所得を帳消しにするような減価償却の取り方をすると税の負担は免れる。

しかし、ローンの返済は多くの場合、元利均等返済のため、時間の経過とともに課税所得が大きくなる。

ローンの元本返済に対し、減価償却額が少ないとローン返済にあててキャッシュフローがでていないのに税額も払うということになりえる。

不動産においてのデッドクロスという言葉はこのような状態の事をいう(元は株式投資用語のはず。造語?)。

減価償却費よりもローンの元本額が上回る状態の事を最近では不動産でもデッドクロスと呼ぶ

20190306101

※上記グラフは、当初借入額1000万円、借入期間35年、利率2%の元利均等返済の借入条件。当初減価償却資産400万円、償却期間15年と設定した例。

減価償却は対象によって期間が決まっている。躯体と設備をうまく割り振って償却期間を調整しよう。その中で元本返済額と帳尻を合わせていられる時期を把握しておく必要性がある。


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事業プランに合わせる

上記二つの視点から見ると、減価償却によってのメリットが永久的に得られるわけではないと気づいたはずだ。

必ずバランスが崩れてしまうタイミングが来る。

投資の最終的な完了期は、売却だ。

売却価格が最も高くなるタイミングの中で、実質的な資金、キャッシュフローが大きく得られるタイミングを測る必要がある。

運営中の税額は大きいものの、売却時が長期に入れば20%。売却時に大きな利益が出たとしても負担は少ない。

そのような場合は大きく減価償却を取り、運営期間中に償却金額を全て使いきりたい、そう考えるはずだ。逆に税率差がないならば何のタイミングで調整しても良い。

不動産を運営している間、売却時期を検討してこなかったという方も現時点における保有と売却の期間に役立つ比較を紹介しておこう。


保有OR売却判断法

減価償却のマジックは混乱しやすい。最大の罠と言えるかもしれない。減価償却を大きくとることが効果的ではないケースも出てくる。

保有と売却の判断法【保有期間の税引前収益の合計+保有後の売却額】 VS 【売却額】  

減価償却で混乱しやすいが、共に終値なので単純に償却額を差し引いた純益を比較。

税率差があればその分、税率が低い方が手残りは増える。

一方で減価償却を最大限生かすための方法がある。不動産は売却時に大きなメリットを得られるものなのだ。それが次に紹介する特例措置の存在だ。


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特例措置

これまでの紹介の中で、減価償却は使用するならば税額が高い時に大きく消費し、利益をあげるときの成果が低ければ最大限効果が生まれることを紹介した。

であるならば売却時の税率が低ければ低いほどにありがたい。

そのための税制を置くには用意してくれている事業用資産の買換え特例だ。

参考:No.3405 事業用の資産を買い換えたときの特例

国交省

譲渡所得税得意としている税理士との連携をお勧めする。

基本的な特例に関しては把握しているが、同じ士業であっても得意不得意はある。

税制は毎年変わるだけでなく特例に至っては見逃すわけにはいかない。

有益なものも出てくるだろう。我々に必要な不動産に関する情報を、リアルタイムで早く提示してくれる税理士が望ましい。

特例を受けることができる場合、税額が大きく圧縮される。

特例措置を受けることを前提に不動産を売却するならば、運営している間に最大限減価償却を取ることができるだろう。


参考

No.3414 売った金額より少ない金額で事業用の資産を買い換えたとき
No.3417 売った金額以上の金額で事業用の資産を買い換えたとき

国交省


次回は、これまでこのシリーズで解説してきた減価償却に関する事項をまとめ総括とさせて頂く。


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投稿者:Kishin Inc.編集部

当社はカフェと不動産の並列店です。店内でゆったりとお過ごしいただくことを大切に地域の皆様に愛され大切にされるようなお店を目指しています。また、地域の住宅の他、東京23区・多摩地区を中心に事業(投資)用物件の取り扱いもしております。 [@Kishin_inc ]

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