減価償却を活用し尽くす術1(基礎計算法)

減価償却を上手く活用することで税額を極限まで減らし、キャッシュフローを大幅に伸ばす事ができる。このシリーズでは不動産投資の利益に直結する減価償却について計上方法や戦略を含め解説していく。

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不動産投資を行う動機として、キャッシュフローの増加と節税とを持つ方は多いだろう。

これらは不動産投資の最大の魅力といって過言ではない。減価償却はうまく活用することで大幅にキャッシュフローを伸ばすことができる。

逆に理解が浅いまま取り組んだとしても思うような成果が得られない。不動産は基本、税負担が非常に重い。その物件の潜在能力を引き出しきれるか否かは貴方次第である。
 

貴方は減価償却を有効に活用しきれているだろうか?

 
減価償却を上手く活用することで税額を極限まで減らし、キャッシュフローを大幅に伸ばす事ができる。

そのためには深い理解と深遠なる計画が必要である。時に敢えて減価償却費を計上しないという選択が功を奏する場合もある。

減価償却は物件の取得時、そして大規模修繕等を行った際に、償却額や償却期間が決まる。そのタイミングで最有効プランを導きだす必要がある事項である。

その為、このシリーズでは減価償却がどのように作用し、どのように扱えば利益を伸ばせるのかを、ひとつずつ基本から、非常に高度なレベルまで徹底的に解説する。

尚、非常に投資効率、事業成果に影響が大きいことから「不動産投資の節税メリットとリスク解析 ☑」のシリーズでも重点的に減価償却の影響・注意点を紹介した。合わせてご覧頂きたい。

第一回目の今回は、減価償却の基礎、対象物件の躯体、設備等の減価償却対象の金額、償却期間の決まり方を整理していく。


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躯体・設備・取得時期で決まる期間

減価償却とは資産を使用していくことにより価値が目減りしていくものを、費用計上していく会計上の制度だ(国税庁|No.2100 減価償却のあらまし)。

不動産投資の場合、建物、設備それに伴う修繕費などがこの対象となる。

要するに資産を複数年に分けて経費化していく制度だ。

これは実際にその年度に使用していようとしていなかろうと経費計上できるということを意味する。いわゆる空経費のような扱いでとらえられるケースが多い。

うまく扱えば税額を抑え、税引後のキャッシュフローを増やすことができるのだ。

まずこの減価償却の基本として、各設備、建物において償却する期間は決まっている。不動産投資で扱う物件について法定耐用年数を確認していこう。


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用途によって変わる償却期間

減価償却の情報となると構造による法定耐用年数の情報は非常に多い。しかしながら耐用年数は用途によって異なる。

賃貸住宅に対する場合の耐用年数ばかりが目立つが、実際の用途と償却期間は異なるので注意しよう。

各償却期間を確認する為、ここでは東京都主税局の耐用年数表を紹介する( 東京都主税局|償却資産の評価に用いる耐用年数 )。
 

http://www.tax.metro.tokyo.jp/shisan/info/hyo01_02.pdf

別表第1 同 【建物】

東京都主税局


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各設備の償却期間

この法定耐用年数は経済的耐用年数とは別ものだ。

経済的(残存)耐用年数は、適切なメンテナンスを施した場合に使用できる期間の目安として使用される場合が多い経済用語である。

本来の意味は、物理的要因、機能的要因、経済的要因による劣化を総合的に勘案して稼働できる目安と言われる。一般に法定耐用年数の1.5倍程度の期間でみられる場合が多い。

法定耐用年数が償却期間になるので間違えないように注意していただきたい。

http://www.tax.metro.tokyo.jp/shisan/info/hyo01_03.pdf

別表第1 同 【建物附属設備】

東京都主税局


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中古を取得した際の期間・計算法

償却期間は対象となる資産が法定対応年数を超過しているか否かで計算式が異なる。それぞれを確認していこう。(参考:国税庁|No.5404 中古資産の耐用年数 )


法定耐用年数の一部を経過した資産

法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20%に相当する年数を加えた年数が取得後に償却できる耐用年数だ。
 

(計算例) (1) 法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数 30年 – 10年 = 20年 (2) 経過年数10年の20%に相当する年数 10年 × 20% = 2年 (3) 耐用年数 20年 + 2年 = 22年

国税庁|No.5404 中古資産の耐用年数

国税庁


法定耐用年数の全部を経過した資産

償却期間の決まり方は法定耐用年数の20%、端数切り捨てになる。木造の建物の場合、法定耐用年数は22年、仮に取得時の築年数が22年を超える場合22年×20%=は4.4年。端数切捨てのため償却期間は4年となる 。


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減価償却額の決まり方

減価償却において、法定耐用年数の割り出し方は理解できた。問題になるのは不動産を取得した際に償却対象になる金額をどのように割り出すかだ。

不動産取引は通常、土地、建物合計の金額から、それぞれ建物価格、土地価格を割り出していく。

よく消費税の金額を気にする例が多いが、消費税によって価格が高騰するということはない。

あくまでも市場において取引されうる総額を検討し価格設定されるからだ。


売買代金の土地建物の按分

しかし不動産投資においては売買代金のうち消費税の金額が、いくら占めるかによって建物の価格が決まってくる。

売買代金の土地建物の按分だ。

不動産取引時におけるこの按分によって減価償却額が決まる

売主が消費税課税業者の場合、非課税業者の場合、それぞれ減価償却の対象となる建物及び設備の金額の割合の決まり方を紹介していく(土地は減価しないので減価償却対象ではない)。

これにはいくつかのパターンがあるので、それぞれのパターンを想定しながら確認してほしい 。


売主が消費税課税業者の場合

不動産売買時における消費税の額から逆算したものが建物・設備等の価格になる。その価格が減価償却対象だ。

それぞれの償却期間は大きく躯体と設備に分かれて決まる。物件取得の際の消費税の金額に注意しよう。

尚、償却期間の調整も重要な為、この部分はこの記事の後半で解説する。


売主が消費税非課税業者の場合

売主が消費税非課税業者の場合、建物・設備の価格の決め方(土地建物按分)には優先順位がある。 順番に見ていこう。


売買契約書に記載された金額

第一優先は時価ベース、つまり売買契約書記載の金額だ。

この場合、注意しないといけない点としては、あまりに実態とかけ離れた価格按分にすると無効とみなされることがあるということだ。

追徴されてもしゃれにならないのでやりすぎには注意しよう。

仮に法定耐用年数を3倍以上超える物件で人も住んでいない、50㎡程度の木造住宅だったとしよう。

そのままで人が住むことも不可能であるような廃屋のような建物に対し、 五千万円、1億円というような価格をつけるのは当然無謀といえよう。

建物の価値があるとみなし実際に使用されており、賃貸に本日することができるという一般常識の範疇の中で収めるようにしてもらいたい。

基本は次に述べる、固定資産税評価額の割合を参考としながら交渉・調整するとよい。


契約書に記載がない場合:固定資産税評価額の比率により按分する

売買契約書に土地、建物の按分が記載されていない場合、第一優先として固定資産税評価額の比率により按分することになる。固定資産税評価額の土地、建物金額が1億円、そのうち建物評価額が1000万円だとすると、この場合、取引売買代金の10%相当額が建物代金と勘定される。


契約書に記載がない場合:鑑定評価額を採用

費用もかかるものなので、小規模な物件の不動産取引においてはほとんど使用することはないであろう。仮に不動産鑑定士による鑑定評価がある場合、その金額の按分によって決めることもできる。

現在の日本においては民間の不動産売買取引において、売買前に不動産鑑定をするケースは非常に稀だ。


次回は、売却時の税額への影響について解説する。


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投稿者:Kishin Inc.編集部

当社はカフェと不動産の並列店です。店内でゆったりとお過ごしいただくことを大切に地域の皆様に愛され大切にされるようなお店を目指しています。また、地域の住宅の他、東京23区・多摩地区を中心に事業(投資)用物件の取り扱いもしております。 [@Kishin_inc ]

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