不動産投資の節税メリットとリスク解析4(借入利用編)

 

不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンとして非常に人気の不動産投資の節税。このシリーズでは不動産投資の節税についてその利点とリスクを精査し、収益向上させる術を提示する。第4回目の今回は、借入を利用した節税法と前回の相続税編と絡み昨年我々に衝撃を与え …


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不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンとして非常に人気だが、利点とリスクの両面について触れる情報はまだまだちぐはぐなものが多いと言わざるを得ない。

このシリーズでは不動産投資の大きな魅力として語られ、認識され、参入動機の一つになりやすい節税というワードについてその利点と認識外に潜む多大なリスクを精査し、収益向上させる術を提示する。

前回までの内容を把握されていない方は下記よりご確認頂きたい。

 第4回目の今回は、借入を利用した節税法と前回の相続税編と絡み昨年我々に衝撃を与えた二件の判例を紹介する。

借入を起こして節税しようの極大リスク

借入を起こし、場合によっては全額資金調達し、不動産を取得・アパート建築の提案を受けた事があるかもしれない。しかし、ここに極大のリスクが存在することに言及しよう。

相続税対策として借入額が課税評価額よりも多いと確かに相続税対策になるようにみえるかもしれない。

ローンを返済しきる収益力

その不動産にローンを返済しきる収益力がないという事に気づかなければならない

新築時はよいだろう。一見キャッシュフローがプラスに傾いているように見える。

しかし、運営していく内にマイナスに傾く。そして維持管理コストも自身が建替えねばならなくなる。

よくあるケース

この例は新築アパート建築の提案、新築のアパート、区分マンションの購入者に多い例だ。

正直な所、どんなに甘く試算してもローン完済までに借入額と同額近くの自己資金投入が必要という例が大半を占める。

節税のキーワードに魅力を感じ、肝心な資産を食いつぶしてしまっては本末転倒となってしまう。

区分のマンションを買い進めて自己破産したドクターを私は知っている。

コストが把握し難いというリスク

税リスクとは少々異なるが、保有中の運営実績は税に直結する。

保有運営に関係するコストに関して正確な情報はあまり公にされていないのか、中々に取得しがたい。

ランニングコストを正確に把握できないというこのリスクも大きなリスクに上げられよう。

不動産運営中の収支を厳密に把握する為に「不動産の運営費・コストの全てを洗い出し事業計画を練ろう」シリーズでまとめているのでご参照頂きたい。尚、ユーザー登録者はログイン後のユーザーメニュー「運営費計算」からシミュレーターが利用できるのでお使い頂きたい。

一物四課の罠

路線価方式と時価が悪用される?と表現していいのかもしれない。

借入を利用し、不動産の一物四課と評される評価額を利用して行う節税法は盛んに行われてきたからこそか、リスクも存在する。

注視すべき2件の判例

昨年、我々にとって注視すべき2件の判決(判例)がでた。

まず、問題の判例を二つそれぞれ解説しながら進めます。

不動産鑑定による評価での申請を否定した判決

請求人らは、相続により取得した家屋(本件家屋)及びその敷地(本件土地)について、本件家屋は、大改修を行っても収益性回復は困難で、機能的、経済的観点から市場性が全く認められないため、解体除去が必要であるとして本件家屋及び本件土地(併せて本件不動産)の最有効使用を判定した不動産鑑定士による鑑定評価書(本件鑑定評価書)には合理性があり、本件鑑定評価書に基づく価額が時価である旨、また、本件家屋の固定資産税評価額は一般常識からかけ離れた評価がされている旨主張する。…


上記に対して、下記の裁決。

基本通達に従って評価すべき 鑑定評価に合理性なし―審判所

固定資産評価基準が定める評価の方法によっては再建築費を適切に算定できない特別の事情または同評価基準が定める減点補正を超える減価を要する特別の事情も認められない。…

 Source:JPBM DailyNews  


この判決では路線価方式(建物は固定資産税評価額)の金額と流通価格の乖離が激しい為被告(不動産オーナー)は不動産鑑定による評価を添えて相続税を収めた。しかし、これを認めないとした判決。

逆に路線価方式での申請を否定した判決について

相続税で「路線価」を否定 地裁判決、"節税"に警鐘 - 日本経済新聞

「路線価に基づく相続財産の評価は不適切」とした東京地裁判決が波紋を広げている。国税庁は路線価などを相続税の算定基準としているが、「路線価の約4倍」とする国税当局の主張を裁判所が認めたからだ。路線価は取引価格の8割のため節税策として不動産を購入する人も…

 Source:日本経済新聞  


この二つの判例が意味する事は、不動産・相続に関してはお高い方を自在に選べる?という疑惑。

また補足として、相続発生数年前に取得していた事、一定程度、相続後時間をあけてはいたものの売却していることから目をつけられたと想定される。

後半事例は所有不動産の(一部)を相続発生後1年程度で売却していた事もあり、納税の為の売却の可能性は高い(その部分までは記載なく想定)。

一切不動産には節税を認めないという意味合い。

国の定める方式をとったとしても難癖つけられる可能性がある事。節税の意思というものが問題になる。

節税の為の動きをしたなと見られると不動産は思っ切り課税される。

固定資産税評価額は一般に時価の7割程度と言われるが、これは概算で税請求する(文句言われんように)お国側の配慮であって、本質的には時価→等価というのが本質ではないだろうか

不動産を持っている方は節税を意識するほどに危険といっても過言ではないかもしれない。

遡って追徴が来るという恐ろしい事実

相当期間(以前は2年程度あければ大丈夫だろうと言われていた)が3年以上開けたとしても遡って追徴が来るという恐ろしい事実。もう何年置いておけば換金が許されるかより追徴の恐怖が上回るかもしれない。

特に収益不動産においてセールスポイントとして用いられた相続税の節税に相当な恐怖を植込み、実質とてつもない課税をされるリスクのみが上がったといえる。

特に流通価格よりも路線価方式の評価が著しく高い場合、鑑定評価をもってしても認めてもらえない。

不動産そのものよりも税額が上回ってしまうという事例も出てくると想定する。

前半の判例はまだあまり認知が広がっていないようだが、後半の判例は昨日の日経に取り上げられた事もあり不動産・金融機関、鑑定士、税理士等様々な立場の方々の声を拾える。

様々な立場の方々の声





次回は、税改正と盲点リスクについて解説していく。

不動産投資の節税メリットとリスク解析5(税改正・盲点編)

不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンとして非常に人気の不動産投資の節税。このシリーズでは不動産投資の節税についてその利点とリスクを精査し、収益向上させる術を提示する。第5回目の今回は、税改正と盲点リスクについて解説していく。

 Kishin Inc.  



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