不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンとして非常に人気の不動産投資の節税。このシリーズでは不動産投資の節税についてその利点とリスクを精査し、収益向上させる術を提示する。第2回目の今回は、減価償却の魅力とそこに潜むリスクについて解説していく。
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不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンとして非常に人気だが、利点とリスクの両面について触れる情報はまだまだちぐはぐなものが多いと言わざるを得ない。
このシリーズでは不動産投資の大きな魅力として語られ、認識され、参入動機の一つになりやすい節税というワードについてその利点と認識外に潜む多大なリスクを精査し、収益向上させる術を提示する。
前回、第1回目は不動産にかかる税金の把握とデッドクロス等のリスク局面について解説した。内容を把握されていない方は下記よりご確認頂きたい。
第2回目の今回は、減価償却の魅力とそこに潜むリスクについて解説していく。
減価償却の魅力に潜む盲点
実際に負担しない経費・魔法の経費として魅力的な表現が並ぶ減価償却だが、目を凝らすと、かなり印象の変わる実態が見えてくるかもしれない。
知っているという認識は危険極まりないリスクを呼び寄せる事に繋がる。
不動産の減価償却は特別ではない
減価償却は不動産に限らずあらゆる資産に適用される。事業を行うものにとって減価償却費を適用できないのは土地くらいのものである。
減価償却が使用できない土地を含む不動産投資は節税効果の高いものなのだろうか?
負担した分を経費計上分割しているだけ
減価償却は仕入にたいする費用を分割して経費計上していく制度だ。己が負担した額を適正に経費化するだけのものだ。
減価償却そのものが節税に直結しているわけではない。どう活用すれば節税メリットが生まれるかを把握せねばならない。
不動産を活用する動機、思惑
節税・減価償却のメリットを享受したいとして不動産を活用する動機、思惑を整理しつつ解き明かしていこう。
ローンが使いやすいメリット?
融資を利用して物件を取得するから自己の負担はないと考える方もいるかもしれない。当然、メリットに繋がる。
しかし、利息は負担しなければならない。
もちろんその利息は経費計上可能であるが、この利息は期限の利益を得る為のコストである。
期限の利益を上手く活用できるだろうか?
今の所得・住民税が高いから魅力?
今の税額が高すぎる問題を抱えているのだろうか。しかし、ただ不動産を運営するだけでは意味はない。
課税されるタイミングが早いか遅いかの差である。今も大事かもしれないが、5年後、10年後までに支払う納税額が変わらなければ、節税とは言えないのではないだろうか。
税率差がポイント
例えば、今現役で課税所得が高いが、後5年で引退する事が決まっている方。今多くの減価償却を計上し、課税所得を下げようと考える人もいるかもしれない。
賢い方法だろう。後述するが、この税率差がポイントである。
税ではなく、キャッシュフローの増加を求めている事に気づくかもしれない。
賃貸人に負担してもらえるメリット?
賃貸人に運営コストやローンの支払いをしてもらえる。減価償却で税金圧縮!というフレーズは確かに魅力だ。
しかし、当然、運営リスクは負う事になる。
また不動産経営のコストについて整理された正確な情報が殆ど出回っていない。新たに取り組もうとする方にとってはコストが把握しにくいという点もまた大きなリスクにつながる。
減価償却の節税効果はここで得る
真に節税をしようというならば、そこに税率差が生まれなければ効果をえられない。一時的に納税額が少なくなろうとも運営期間全体で通すと納税額はかわらないからだ。
運営(所得・住民税)と譲渡税率差
所得税・住民税率が高い利率になっている方が、償却期間が短めの不動産を運営し、売却する場合は税率差がそのまま圧縮につながる。
例えば、所得・住民税50%の方が、減価償却をしきった残存0円となってから長期譲渡所得税(約20%)で売却した場合は、初期償却資産額の税率差分の納税額の節税ができる。償却資産額が基準である点に注意しよう。
税率差がない場合
償却したとして売却する際にはその分課税所得額が増える。その為、税率差がない場合、例えば法人の場合その差がない為、減価償却で節税法は存在しない。
納税タイミング
法人の場合は納税タイミングをずらし、キャッシュコントロールをする目的に償却方法を検討するのみだ。
尚、売却を永遠にしないという方は、節税法がそもそも存在しない。自身が負担した建物・設備というものを分割して経費計上しているだけである。先に述べた通りだ。
買い替え特例も有効
所得税・住民税率が高いという方や法人も含め、今の納税額をコントロールしたいという事は当然にある。
この減価償却のコントロール力を活用した上で、売却した際にこの事業用資産・特定資産の買い替え特例(国税庁|No.3405)を使用すれば必ず税率差が生まれる。
ここが減価償却を活用した最大の節税メリットと言えるだろう。
何故減価償却に魅力を感じたのだろうか?
節税とは非課税制度・控除制度等を活用して適法に税金額を軽減することだ。
そして不動産を活用した節税は運営期間終了時までに支払う税額を抑えたいという事ではないだろうか?
税額を減らしたいという目的の節税は裏返せば、利益の増大、キャッシュフローの増加、資産の蓄積額を増やしたいという事ではないだろうか?
次回は、相続税圧縮の恩恵・活用と盲点となるリスクについて解説していく。
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