誰もが考える「不動産を高く売りたい」という希望は阻害され続けている。このシリーズではこの真髄について、成約価格を跳ね上げる為の理論とその各手法を可能な限り紹介する。第八回目の今回は、高値売却の高等テクニックを交えノウハウを解説していく。
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誰もが考える「不動産を高く売りたい」という希望は阻害され続けている。
このシリーズではこの真髄について、成約価格を跳ね上げる為の理論とその各手法を可能な限り紹介する。
前回までの内容をご覧になっていない方は、下記よりご確認頂きたい。
- 不動産売却の教科書1(高値売却の法則編)
- 不動産売却の教科書2(売却前の下準備編)
- 不動産売却の教科書3(売却依頼の罠編)
- 不動産売却の教科書4(一括査定サイトの罠編)
- 不動産売却の教科書5(問題解決・自力編)
- 不動産売却の教科書6(問題解決・協力編)
- 不動産売却の教科書7(物件魅力向上術編)
第八回目の今回は、高値売却の高等テクニックを交えノウハウを解説していく。
売却準備・ローン準備(21)
この項目では資料を用意しておくことで買手が安心して購入に踏み切れるという利点と買手が使用する融資(ローン)利用をしやすくする為の配慮を施す事で、高額でも売買契約を成立させやすくする効果が高い。
商品を売るには買手への配慮は必須である。尚、項目は多岐にわたりすぎる為、代表的なものを挙げる。
売却準備書類・項目
- 前面道路の種類(建築基準法上の道路)を確認
- 前項に該当しない場合(法43条|但し書き要件・実施可能の有無)
- 土地の境界確認
- 間口の確認(住居2M以上、集合住宅4M以上)
- 前項が不足の場合、隣地交換・買取
- 各道路図
- 通行・掘削承諾書の取得(前面道路が私道で自身が持分を持たない場合)
- 配管図(上下水・ガス)
- 都市計画図にて対象物件情報を確認
- 建築図面一式(保管があると有利)
- 建築確認書類一式(なければ台帳記載事項:検査済証が発行されていると非常に強い)
- 現況で建蔽率・容積率に超過はないか、建築基準法法の不適合がないか確認
- 公課証明書・評価証明書の取得
- 古地図
- 販売用図面の作成
- 修繕履歴(過去分と先に挙げた一覧表)
- 分譲時パンフレット(保管があると有利)
- レントロール(賃貸用不動産)
- 賃貸借契約書(賃貸用不動産)
- 管理委託契約書(委託管理の場合:賃貸用不動産)
ローンの利用に優位になる事
これはなかなか該当されるケースは少ないが、区分マンションの場合は対象不動産がフラット35の適合物件 かどうか調べてみよう。
フラット35
対応年数を基準にマンションはローンが組める期間に制限がある金融機関があるが、適合物件であると一般的な35年ローンが使用できる。
したがって販売価格が跳ね上がる。(一部築年数制限がない金融機関もある)
劇的にローンが伸びる手段としてフラット35の適合証明書が取得されているか、または取得できるかという項目がある。主に住宅になるが、確認、してみてほしい。
一戸建の場合
また、一戸建である場合は、基礎高に注目してもらいたい。60㎝以上ある場合、適合物件として認められるケースがある。
その可能性がある場合は適合証明技術者にアプローチするとよい(適合証明技術者検索 )。
旧耐震建物の場合
耐震適合証明書の取得が可能かどうかを調べてみよう。
住宅購入者にとって「住宅ローン控除」等の特例の効果は大きい。住宅ローン控除が使用できる場合、ローン残高に対して1~1.2%を10年間税金の控除(税額そのもの)を受けられる(令和元年度)。
仮に5000万円を35年ローンを利用した場合、400万円以上の控除を受けられる。ローン支払い額からみると1000万円以上の借入額に相当する。
旧耐震物件とは、昭和56年4月以前に建築確認を取得している物件、以降を新耐震として分けて表現される。
住宅ローン控除をはじめ様々な特例は住宅取得者用の特例はこの新耐震か旧耐震かで適用が分かれる。旧耐震の建物であっても「耐震適合証明書」を取得できれば購入者がこれら特例を受けることができる。
賃貸用不動産の場合
アパートの場合はフラット35はないだろう。しかし、一棟マンションの場合は後述するバルク売りが可能な場合(宅建業免許取得者)、買手が宅建業者の場合は大きな効果がある為、要確認ポイントになる。
通常は、修繕記録の明示と先の項目であげた適合物件化が買手の融資利用を助ける事になる。
コンバージョン(4)
不動産のコンバージョンとは物件の使用方法(用途)を変える事をいう。
不動産市場においてもっとも高い水準で取引されるのは住宅市場である。その為、住宅を売却する方はこの項目以降は読み飛ばしていい。まとめの項まで進んで頂きたい。
既に最も高く取引される市場にある物件なのだから。
アパートを売却する場合、コンバージョンの候補は土地売りである。土地売りした場合のコストと予想売却価格をよく検討して決定して頂きたい。
入居者がいるアパートの場合、リスク要因は入居者が退去してくれるかである。
その退去が確定できない点、そしてそれ相応の退去費用が見込まれるので慎重に進めよう。
また、店舗や事務所といった物件を営業の本拠としている入居者がいる場合、退去に係る費用は非常に多い。営業活動に対して保証しなければならない為、交渉は難航するだろう。
上手く事が運べる場合にかかる基本的なコストは退去費用と解体費用である。
他にアパートの一部を店舗にする、二世帯住宅を賃貸付き住宅にする、事務所に変更する等あるが、その作業は難しい事はあまりないだろう。
バルク売り(2)
バルク売りとは既存の物件を何かしらの方法で区分けして販売する方法である。この方法を選択するには宅建業の免許が必要である。
賃貸経営をするオーナーの中でも一部の方に限定されるという点と免許をお持ちの方は当然既にご存知と考えられるので簡易的に触れる程度にしておく。
土地分割売り
土地分割の場合、造成費用、道路が必要になる場合もあり、規模等により開発許可が必要になるケースもあるが、いずれもここであえて詳しく記載する必要はないであろう。
区分マンション化
一棟マンションの場合、ただ区分売りをするという訳にはいかない。管理規約の作成と敷地権設定を行い、且つ各部屋の区分登記を行う事でこの販売方法がとれる。
尚、管理会社はある程度大手を採用する方が信用の面でもよいと私は考えている。
管理規約の作成には国土交通省に雛形があるので利用するとよいだろう。
値が付かない地域の物件対策
このシリーズをご覧頂いている中には売買需要が乏しく売却しようにも値が付かないという地域に不動産をご所有されている方もいるかもしれない。
不動産の3つの活用
不動産は自ら住む・使う(実需)、賃貸経営する、売却するのいずれか3つの活用方法しか存在しない。
この中で一般に言われる需要がない地域というのは自ら住む・使う方を対象にしたものだ。その需要がないから売却をしようと考えるが買い手もつかないという因果関係。
賃貸経営を模索する
不動産を資産として考えるならば賃貸経営ができる物件にならないかに焦点を置いて思案・プランニングすることがこの値が付かない問題を解決するキーになる。
勿論、賃貸経営ができるならば物件を売らないという回答を用意されているかもしれない。
しかし、賃貸業は経営であり、事業であるからその賃貸経営が必ずしも事業としての効率とリスクに見合うかの判断は別であろう。
賃貸OR売却の精査
最善を望むならばその賃貸OR売却の精査を正確にしてくれるパートナー探しをしてみていただきたい。
また、賃貸に出そうにも地域的に賃貸経営が難しい地域というものにも該当してしまうかもしれない。
アイディアが価値を付加する
大切な資産であるからこそ解決するアイディアが必要だ。
無価値といわれる不動産、地域の物件を売却するには賃貸の可能性を広げ検討してみてほしい。売却する為に賃貸物件として稼働させるという公式は需要の乏しい地域の物件には必須の捉え方といえる。
次回は、これまでこのシリーズで解説してきたノウハウの活用注意点やまとめとさせて頂き総括とさせて頂く。
![]() 不動産売却の教科書9【総括】 | 誰もが考える「不動産を高く売りたい」という希望は阻害され続けている。このシリーズではこの真髄について、成約価格を跳ね上げる為の理論とその各手法を可能な限り紹介する。第九回目の今回は、これまでこのシリーズで解説してきたノウハウの活用注意点やまとめとさせ… |
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