不動産の運営費・コストの全て。6(融資・税算出編)

これまで不動産の運営費にかかる室内コスト、外部修繕、不動産管理、税金・保険料、入退去費用等を解説してきた。第6回目の今回は不動産保有時の融資(ローン)と税算出の方法を細やかに解説し税額の把握、不動産運営の税引後のキャッシュフローを正しく把握できるように解説していく。

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不動産の運営費・コストの全てを把握し事業計画を立てることが不動産投資・賃貸業にとっての肝といえるが不動産運営は長期に及ぶことから経験則からその全てを把握する事は難しい。

このシリーズではその把握しにくいコストの全てを紹介していく。

前回までの記事をご覧頂いていない場合は、下記よりご確認頂けるのお目通し頂きたい。

  • 不動産の運営費・コストの全て。1(室内コスト)
  • 不動産の運営費・コストの全て。2(外部修繕費)
  • 不動産の運営費・コストの全て。3(管理にかかるコスト)
  • 不動産の運営費・コストの全て。4(税金、保険料)
  • 不動産の運営費・コストの全て。5(入退去にかかる費用)
  •  
    第6回目の今回は、融資金(不動産ローン)のランニングコストを正確に計上し、厳密なキャッシュフロー推移を把握する術を解説していく。


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    融資金(不動産ローン)のランニングコストを計上

    ローン返済方式は多くの方が、元利均等返済になるだろう。そのため計算式はエクセルで行うと非常に簡単だ。

    エクセル関数を使用して計算すると下記関数を使うことになる。


    元利金支払額の計算 PMT関数

    財務関数の 1 つである PMT は、一定利率の支払いが定期的に行われる場合の、ローンの定期支払額を算出します。
    書式 PMT(利率, 期間, 現在価値, [将来価値], [支払期日])

    Microsoft-PMT関数


    元金返済分の計算 CUMPRINC関数

    開始から終了までの期間に、貸付金に対して支払われる元金の累計を返します。
    書式 CUMPRINC (利率, 期間, 現在価値, 開始期, 終了期, 支払期日)

    Microsoft-CUMPRINC 関数

    期間内の総支払額(PMT関数)から元本返済額(CUMPRINC関数)を差し引けば利息が算出され、これにより元利金支払額、元本、利息の三つが導き出される。

    なぜ利息の支払金額を分けて算出する必要性があるかというと、次の税額を計算する際に必要となるからだ。


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    所得・住民税を割り出し税引き後キャッシュフローを算出

    法人の売買法人実効税率で一定となるが、個人の場合は各所得金額によって税率が変わる。

    まず前提として対象不動産外の所得金額を算出しておこう。物件を運営する事による税率、税額の変動分を把握しなければ事業計画は立てられない。

    注意すべき2点は、ローンの支払い金額の内、費用となるのは利息だけという点。対象物件の築年数、建物構造によって計上できる減価償却費用は異なる。

    試算期間に償却できる額を設定する方式が簡単で正確な数値をはじき出すだろう。

    不動産を保有することによって生み出されるキャッシュフローを割り出すためには、所得の算出と税額を割り出す必要性がある。まず税額を導くための計算式から進めていこう。


    所得税・住民税(法人実効税率)を割り出す工程


    1.家賃収入×(1-空室率)×対象期間 = 純収入

    2.期間内の不動産支出の合計 = 純支出

    3.期間内の利息の合計金額

    4.期間内に償却できる減価償却費

    課税所得金額 = 1.-(2.+3.+4.)

    上記の物件を取得することによって導き出される課税所得金額を自身の購入前の所得額にプラスして税率が決まる。所得税に加えて住民税は必ず10%かかるので所得税+10%として計算してみよう。

    それにより税額が割り出せる。法人の場合は税額は一定なので課税所得金額の割り出しのみで構わない。実効税率を確認しよう。所得税率表が国税庁のホームページにあるので確認しよう(国税庁|No.2260 所得税の税率)。


    税率の出し方


    物件の課税所得金額と保有前の課税所得金額を合わせての所得税率を算出、住民税率10%を加えた税率(法人は実効税率:一定)

    税金額が算出できてようやくキャッシュフローが算出できる。通常、キャッシュフロー計算というと公式があるが不動産賃貸業の場合、個人もいれば法人もいるし、入り組む事もある。

    その為、上記までで紹介した計算式を活用できるように整理した計算式を明示したい。


    税引き後キャッシュフロー算出の計算式


    純収入-純支出-ローン支払金額-税額 = 税引後のキャッシュフロー

    上記計算式によって不動産を保有した場合の純キャッシュフローを導き出すことができた。

    不動産は購入する前に収入と支出をかなり厳密に算出することが可能だ。
     


    次回は、これまで解説してきた1~6の総括としてまとめさせて頂く。


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    当サイトの運営収支自動計算ツール(無料)

    当サイトではユーザー登録者に向けて不動産の運営コストの詳細試算ができる計算システムを無料で提供している。利用は、ログインして管理メニュー「運営費計算」ページを開くだけで利用できる。

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    主な機能・計算内容の紹介

    • このシリーズで解説する内容の全てを網羅。
    • 勿論、スマホ対応
    • 一戸建・区分マンションから共同住宅、一棟ビル等の全てに対応。
    • 住居戸数・店舗戸数の指定により内部コストを厳密に試算。
    • 設備グレード指定、各設備の調整機能付きの為、自分自身の運営計画に合わせて計算が可能。
    • 外部修繕コスト(修繕積立金)にも対応。
    • 清掃費用等の雑費、室内入退去費用にも対応。
    • 火災保険・地震保険等の計算にも対応。
    • 融資利用の場合の運営費への影響(税金)等を加味し、キャッシュフロー算出。
    • 物件取得直後の修繕コストの計上、減価償却対象額を計上しての試算に対応。
    • 対象物件の期間内平均課税所得を表示。取得前の自身の所得と合わせ実際のキャッシュフローを厳密に試算。
    • 個人・法人ともに対応。
    • 試算年数設定により、融資を利用した場合の時点、蓄積金(キャッシュフロー蓄積)、試算終了期のローン残債額の計算

    等など、考えられうるコスト計算及び運営の結果、事業成果を厳密に計算できる。


    基本設定

    下図のようにメニュー欄「運営費計算」を選択すると不動産運営の自動計算システムのページが開く。最上段は物件の基本設定だ。


    内部修繕コストの基本設定

    住戸、店舗等の戸数設定から、設備入替(修繕)サイクルの設定や各設備の基本コスト設定、まとめ工事による割引に対応。


    外部修繕・管理費・税・保険

    一棟建物か区分所有建物かの選択、管理費の計上により管理委託・自主管理共に対応。管理委託の場合の振込手数料や清掃費、水道光熱費、固定資産税等の税金や火災・地震保険に対応。


    入退去費用にも対応

    平均入居期間設定により、入退去にかかる費用も厳密に計算される。


    ローン計算・税引き後キャッシュフローにも対応

    融資利用設定を行い、この後に続く減価償却対象額の設定で厳密な税引き後キャッシュフロー(蓄積金)の試算にも対応している。


    課税対象所得の厳密な算出

    対象不動産及び融資利用による利息等の控除対象を自動計算。

    物件取得直後の修繕費用、試算期間内に償却予定の減価償却費設定することで将来の厳密な税コストを試算できる。

    さらに対象物件の試算期間中の平均課税所得が表示される為、貴方の現課税所得額と合わせることで取得後の厳密な税額の算出が可能。


    全てを加味しキャッシュフロー(蓄積金)が算出される

    保有期間(試算年数設定)に蓄積されるキャッシュフローの算出、そしてローン利用の場合は、終了期のローン残債も自動計算される。

    このツールを利用すれば不動産の運営費、その他すべてのコストを算出し、厳密な事業計画を練れるだろう。勿論、スマホ対応している。

    ユーザー登録者は無料でいつでも利用できるので是非ご利用いただきたい。

    ▶ ログインして内容を確認

    利用はログインしてメニューの「運営費計算」ページ。

    その他、ユーザー特典も用意しているので是非ご確認頂きたい。



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    投稿者:Kishin Inc.編集部

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    Kishin Inc.編集部 @Kishin_inc

    昨日経済産業省のプレスリリースを読んだ際に触れた、民間金融機関への無利子融資なりの対応が先行しないとうまく稼働しないのでは?の疑念は、その一歩手前、政府の保証までつけねば成果は上がらないのかもしれない。

    通常の融資審査とあまり変わらない結果をもたらしている事例はかなり多そうである。

    憶測に過ぎないものの、名目としてコロナ関連での助成がある為、担保ありの融資は当然に通常時よりも取り組みやすいはずだが、資金使途の問題がある。

    物件購入や改修資金としての打診はそぐわなそうであり、賃料不払いによる経営圧迫、、くらいしかパッと出てこないが、この資金使途の部分でうまく調整出来れば賃貸業の特に資金を確保したい方にとっては好機になり得そうと思う。

    コロナ関連の影響で融資を打診したものの否決続きで困っているという事案を取り上げた記事。

    「行政に斡旋されたのだから大丈夫だろうと思っていたら、政府の保証があるわけでもないし、やはり赤字の会社に金は貸せないのを分かってほしいと言われ、挙句、担保があればいくらでも貸しますよと、緊急のコロナ対策用の融資ではなく、通常時の不動産担保ローンを売り込んでくる始末でした」




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